混信等の受信障害について

名古屋市中区を中心とした地域を放送エリアとして76.5MHzで放送を行っているFM DANVO(名古屋中エフエムラヂオ放送)ですが、FM DANVOを受信するにあたって、同一周波数で放送を行っている大阪の外国語FM放送局FM COCOLO(関西インターメディアエフエム 76.5MHz 10Kw)との混信が生じ、FM DANVOの放送を快適に受信できないという受信障害が発生しています。このページでは、受信障害の発生に至った経緯や受信障害の実例について紹介します。

受信障害発生の経緯

1999年4月、東海電気通信監理局(現・東海総合通信局)は名古屋中エフエムラヂオ放送株式会社が免許申請していたコミュニティ放送局に対し予備免許を交付し、放送周波数として76.5MHzを割り当てました。

東海電気通信監理局がFM DANVOに割り当てた76.5MHzでは、以前から大阪の外国語放送局FM COCOLOが放送を行っていました。FM COCOLOは大阪にある他のFM放送局とは違い、関西地域での広域放送を目的とした放送局で東大阪市の生駒山という山から電波が送信されており、FM COCOLOの放送は名古屋市内をはじめとした愛知県内の一部や、三重県の一部、岐阜県の一部などでも受信可能でした。(FM COCOLOエリアマップ参照)

名古屋市内において受信可能な遠方放送局と同一の周波数でコミュニティ放送局を開局すれば混信が生ずるのは目に見えていますが、東海電気通信監理局は同一の周波数を割り当ててしまい、FM DANVOの開局と同時に混信による受信障害が発生しました。(FM DANVOエリアマップ参照)

FM DANVOに予備免許が交付される半月ほど前の1998年3月、名古屋市中村区のコミュニティ放送局SHANANA! FM(名古屋シティーエフエム)には76.1MHzが割り当てられましたが、こちらは混信原因となり得る放送局が存在していないため、混信などの受信障害は生じていません。

受信障害の実例

ここでは、名古屋市守山区の筆者宅(FM DANVO送信所から9.5Km地点)における、受信障害発生状況について述べます。

ラジカセでの受信

筆者宅(木造二階建て)の二階でFM DANVOをラジカセを用いて受信した場合、ラジカセに内蔵のロッドアンテナを最短状態に縮めた状態であっても、モノラルではあるが良好に受信可能である。ロッドアンテナを伸ばすとステレオモードでの受信が可能になるが、たちまち受信音声に「ミュルミュル・バシュバシュ」といったノイズが出る。ここで出るノイズは、受信強度が弱い場合に出るノイズとは異なり、明らかに混信によるノイズであることがわかる。

また、毎朝5時55分ごろ〜6時55分ごろまでの、FM DANVOが電波を発射していない時間帯にはFM COCOLOが受信可能である。ロッドアンテナを縮めた状態では受信強度が不充分であることに起因するノイズが激しいが、ロッドアンテナを伸ばし方向を調整すれば、モノラルではあるが受信が可能である。この時の受信強度は、同じ環境でSHANANA! FMを受信した場合とほぼ同等である。

屋内アンテナと据え置きチューナでの受信

部屋の天井部分に屋内用T型アンテナを画鋲で固定し、接続端子を据え置きチューナの外部アンテナ端子に接続した状態で受信をした場合、ラジカセでの受信よりも大きな受信障害が発生する。受信周波数を76.5MHzにセットするとTUNEDシグナルが点灯するが、受信音声はFM DANVO, FM COCOLO両局の音声が激しく混じり合い、音声として認識できない状態である。

アンテナの設置位置を調整すると、FM DANVOの受信状態が改善されることはないが、逆にFM COCOLOの音声が強力に受信できることがある。

この受信環境でSHANANA! FMを受信した場合、多少のノイズは出るものの、十分聴取に耐えるクオリティで受信可能である。

屋外アンテナと据え置きチューナでの受信

屋外のベランダにFM屋外アンテナ(3素子)を設置し、据え置きチューナの外部アンテナ端子に接続した状態での受信に際しては、FM DANVOの方が強力に受信可能でステレオ受信も可能であるが、常にFM COCOLOの混信ノイズが乗っているため非常に聞きづらい状況である。

参考資料として、「FM DANVO放送終了後の無音状態に混信するFM COCOLOの音声」(1999年4月25日 22時59分〜23時00分に収録 MP3 160KB)を提示します。FM DANVO放送終了アナウンスの後、無変調の後ろでFM COCOLOの混信ノイズが確認できます。普段からFM COCOLOを聞かれている人は、時報前に流れるツーカーセルラー関西のCMが確認できるかと思います。

FM COCOLOの電波が発射されていない時間帯(深夜0時以降)は混信によるノイズは全く生じておらず、極めて良好に聴取可能である。

また、毎朝5時55分ごろ〜6時55分ごろまでのFM DANVOが電波を発射していない時間帯にはFM COCOLOがステレオ受信可能であり、多少のノイズが生じているものの聴取に耐えるクオリティである。チューナのシグナルメータ(0〜5の6段階)は3という数値を示しており、それなりの強度で受信していることがわかる。SHANANA! FM受信時にもシグナルメータは3を示し、同等の受信強度であることがわかる。

アンテナ方向を調整すると、FM DANVO放送中であっても、FM COCOLOの音声が受信可能である。この時は、ステレオシグナルが不安定でノイズも多い。

この受信環境では、SHANANA! FMはほぼノーノイズで受信可能である。

解決策はないのか?

受信者側での対策には限界がある

「受信障害の実例」で述べたとおり、FM DANVOの受信に際しては混信による受信障害が大きな障害となっている。

受信強度が弱いことによる受信障害であれば、受信環境を改善するなどして対策可能であるが、混信による受信障害に関しては意図的に受信強度を下げるなどの対策を取る必要がある。

ラジカセや屋内アンテナなどの一般的なラジオ受信環境では、電波を強力に受信できるように工夫することにより、さらに混信が増し受信状態がさらに悪化するなどの現象が生じている。このような現象の場合、一般受信者側では対応が難しい

放送者側での対策は?

放送者側での受信障害への対策について考えてみると、以下の方法が考えられる。

  1. FM COCOLOの電波が遠方へ届かなくなるように対策を施す
  2. FM DANVOの送信出力を増力し、せめて名古屋市内での受信が正常に行えるようにする
  3. FM DANVOの送信周波数を混信の恐れのない適切な周波数へ変更する

1.の対策を取れば、他の地域でも76.5MHz前後の周波数を使用したコミュニティ放送局を開局させることができるなどのメリットがある。しかし、FM COCOLOは関西地域での広域放送を目的とした放送局であり、放送エリアを狭めることは難しく、また、このような受信障害に関しては後発局(後から開局した側)で対策を取るのが原則であり、先発局(先に開局した側)に対策を求めるのは難しい。

2.の増力による対策であるが、これも難しいだろう。現在、全国各地のコミュニティ放送局が送信出力を20wに増力しつつあるが、増力が認められるには他局への混信の恐れがないことが条件とされている。(下記参照)

コミュニティ放送について、周波数の有効利用及び受信者の利便性の向上を図る観点から、コミュニティ放送の区域を一つの周波数でより効率的にカバーする場合には、その空中線電力について、他の局への混信を与えない範囲内において、最大値を10Wから20Wへ変更する。

郵政省(現・総務省)報道資料「FM放送の受信環境の改善等に向けてより引用)

FM DANVOの送信出力を20wに増力した場合、FM COCOLOが受信可能である(と思われる)三重県や滋賀県などでの新たな受信障害の発生や、名古屋周辺で76.5MHz前後の周波数を使用している他のコミュニティ放送局(76.3MHzのエフエムたじみ、エフエム岡崎など)への影響が懸念される。

FM DANVOの送信所がナディアパークという高層ビル屋上に設置されており、現在の10wでも電波は十分遠方まで到達していると考えられ、増力の理由は見当たらない。

3.であるが、1,2で挙げた現状を踏まえて考えると、送信周波数の変更が一番の対策であるのは言うまでも無い事実である。しかし、

などの問題を考えると、この対策の実現も難しい。

さいごに

以上述べてきたとおり、この受信障害に関しては放送者側・受信者側共に対策を取るのが難しく、事態の改善を期待することは難しい状況であると考えられます。しかし、せっかく開局したコミュニティ放送局がまともに受信できないというのは、起こってはならない異常事態であり、受信者に大きなデメリットをもたらしています。可能なことならば対策をとってほしいというのが、一放送受信者である私の願いです。

この受信障害に関する責任はFM DANVOにはなく、東海電気通信監理局にあると考えます。私のような素人にも、混信の発生は十分予測できました。であるにもかかわらず、放送周波数の割り当て業務を行う、言わば「プロ」である東海電気通信監理局は一体何を根拠に76.5MHzを割り当てたのでしょうか? 割り当て担当者は、この地域の周波数事情をきちんと把握していたのでしょうか?

きちんとした調査を行い、混信の発生を避けるよう考慮した上で周波数割り当てを行えば、このような事態には至らなかったはずです。この周波数割り当ては、プロの行う仕事とは到底思えない、ずさんな周波数割り当てであると考えます

東海電気通信監理局およびコミュニティ放送局の開局を考えておられる事業者の方には、新たな受信障害が発生しないよう、十分に検討していただきたく思います

2000年4月1日、FM DANVOの送信出力が20wに増力されました。受信状態は10W時とさほど変わっていません。



Last modified:2001/11/23, Created:1999/2/2
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